有機農業推進法を受け、今年3月、農林水産省は、有機農業総合支援対策実施要領を制定し、広く事業実施計画の公募が行われました。これに対して当麻から「北海道有機ふるさと村」(有機農業者を中心とする民間組織)が「地域有機農業推進事業」に応募いたしました。その結果、全国45地域、北海道では2町村(新篠津村)の内の一つとして、この度、当麻町が有機農業モデルタウンに採択されることとなりました。
 北海道有機ふるさと村、当麻有機農業を考える会、個人有機農業者、当麻町、当麻町農業委員会、JA当麻、当麻土地改良区の総意をもって「当麻町有機農業推進協議会」が4月28日に結成されました。現在、採択された事業計画に基づき事業を進めているところです。
 この事業は今年度から最大5年間継続される国の補助事業です。事業の主な取り組みは「有機農業者の育成・確保・有機農産物の生産・流通及び販売の拡大・有機農業に対する消費者等の理解及び関心の増進」を実現するために行われます。何れにしましても、農業政策の中で有機農業を推進するための法律ができたこと、国家予算が計上されたことは、日本農業の構造ならびに政策の転換が少なからず進められるという歴史的にも意義深いものがあります。今後の事業展開についても随時ご案内致しますので、全町挙げて有機農業の推進にご理解とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。また、有機農業や本事業に関する皆様のご質問やご要望など、お寄せいただければ幸いです。
 有機農業推進法の経緯、北海道の動向などを簡単にご紹介いたします。
 2006年12月、衆・参両院本会議において有機農業推進法が全会一致で採択されました。この法律は超党派の議員連盟である有機農業推進議員連盟(会長:谷津義男議員、事務局長:ツルネンマルティ議員)の提案による議員立法として制定されました。その議員連盟の設立趣意書に「我々は、人類の生命維持に不可欠な食料は、本来、自然の摂理に根ざし、健康な土と水、大気のもとで生産された安全なものでなければならないという認識に立ち、自然の物質循環を基本とする生産活動、とくに有機農業を積極的に推進することが喫緊の課題と考える」と記されております。
 政府は農業政策において、この推進法の制定を受け有機農業推進へ大きく政策転換することとなりました。同法第4条では「国及び地方公共団体は、(中略)、有機農業の推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する債務を有する。」と明記されました。
 2011年までを有機農業推進の第一期と位置付け次の諸点が挙げられています。
 @国、都道府県、市町村で、民間と行政が一体となった推進体制を構築する。
 A都道府県は民間との協働を旨として有機農業推進計画を策定する。
 B技術開発を推進し、有機農業に容易に取り組むための条件を整える。
 C有機農業への参入、転換を円滑に進めるための体制を整備する。
 D有機農業への理解を広げるための啓発活動の推進
 国は「有機農業推進基本方針」を策定し、都道府県は国の「基本方針」に即して「有機農業推進計画」の策定に務めると定められました。2011年までに都道府県の100%、市町村では50%が計画を策定することを目標としています。
 北海道では、全国に先駆けて有機農業推進法に基づく「北海道有機農業推進計画」を策定し有機農業の推進に関する施策の展開方向を明らかにしています。その中で具体的には、現在の有機農業者331戸(有機JAS認定者)を5年後には1,300戸に増やす目標を掲げています。
 地球温暖化による気候変動、自然環境の悪化、危機的な食料の問題など、数えるときりがありません。様々な事がらが急激に変化したり勃発したり、人がどう生きて行こうなどと考える暇も見つからないほど、時間が短くなってしまったような気がします。人間の一番大切な、食は生命を育み、有機農業は人を育みます。
 この事業を期に、エコロジーとしてつながる自然と環境との調和、地産地消ひいては健康自立のできる環境つくりを目指したいものです。
 有機農業が地域農業ビジョンのなかに位置づけられ、地域的な広がりになることを切望し「当麻町有機農業推進協議会」設立のご挨拶といたします。
当麻町有機農業推進協議会 代表  瀬川 守
(会報第1号より)
inserted by FC2 system